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本を読む日々の身辺雑記


by aokimugi

時間のこと

楽しみにしていた卒業旅行ですが、同行する友人がインフルエンザになってしまったため、延期することになってしまいました・・・。
2月中に行く予定ですが、まだ日程は未定です。

今日は学校で万葉集に関する小さな講演会があったのでそのお手伝いに行ってきました。
その後は教授に連れられて当然飲み会。(卒論を見ていただいた教授は飲み会大好きなのです。今年はいっぱい行ったなあ・・・。ちなみに私は飲むより食べる方が好きなんでいつもバクバク食べてます。w)
仲の良い教授方と連れ立って飲みに行くのに私ら学生も混ぜてもらっているという感じです。授業とかでは分からない先生方の素顔が見えて面白いです。でも、酒の肴に「上代の音韻変化」とか「万葉集●番歌の解釈」とかの話題でそれはそれは楽しそうに盛り上がっておられるので、おちおち不用意なことは言えません・・・。いや、話を聞いている分には面白いですけどねっ!!こっちに意見求めないで下さい~~~!!って感じです。(笑)
ちょっと緊張はしましたが楽しい時間と美味しい料理で幸せな夜でした。

ところで昨日の夜、恩田陸の『蒲公英草紙 常野物語』を読みました。
とてもとても大切なものをもらった気がします。
最後の方は、文字が見えないくらいぼろぼろ泣きながら読んでいました。
強く薦めてくれた友人に感謝です。
この話は恩田陸の「常野物語」と同じ世界の話ですが、特に続編という訳ではありません。「常野物語」を読んでいない人でも全く気にすることなく読める話です。ただ、この話を読んだらめちゃくちゃ気になって読んでしまうとは思いますが。(笑)

この話を読んだ後、なぜか最近見たばかりの能舞台を思い出しました。
とは言ってもお能の演目ではなく、能舞台のことです。そのときの能舞台では舞台の軒下がぐるりと細い注連縄(しめなわ)で囲われていました。私はそんなことをしているのを初めて見ました。そして、能の演技が始まる直前に橋掛かり(舞台の横に伸びている橋のこと。そこから演者が舞台に上がるのです)の垂れ幕の隙間から、チョンチョンと火打石を打ち合わせるのを見た時なんとも言えない衝撃を受けたのです。
このとき私が感じた衝撃を説明して理解してもらうのはとても難しいことかもしれません。が、出来る限りやってみようと思います。
その日のお能は、毎年行っている定期能の初回でした。だからそれらは新年の風習だったのだと思います。加えてその能舞台はよくある公共の音楽ホールなどよりも能楽師の「家」に属するようなちょっと私的な場なのです。でも、万人に対して神聖な「芸事」を行う、ある種公共の場でもあります。そのとき行われていた注連縄や、厄除けの火打石は、多分その能舞台が出来てからずっとずっと自然にそして厳粛に行われてきたことなのだと思います。祈りを込めて。
ただの新年の風習だと言ってしまえばそれまでのことなのですが、私はそうやってさりげなくでも大切に永い永い年月伝えられてきた何か、をその一瞬に見たような気がしたのでした。
蒲公英草紙を読んだ人には分かるかもしれないのですが、こういうものもあの人達の書見台と同じようなものなんじゃないかな~と、思うのです。気をつけてみていたら身の回りにたくさんあるのかもしれません。
by aokimugi | 2006-01-28 02:48 | 小説・ノンフィクション